2019年7月21日日曜日

7月15日

明日、早朝、アウシュビッツビルケナウ収容所に行く。本当は、その最寄り都市、ポーランド、クラクフに7月16日に一泊して、翌日に尋ねる予定だったが、公式ガイドの中谷さんから「17日から21日まで休暇」との返信。きっと肉体的にも精神的にもボロボロになるだろうと思いながらも、16日午前10時からのガイドツアーを予約した。何故なら、15、16日にほとんど睡眠がとれない状態で、16日午前0時過ぎにクラクフの宿に到着。それから仮眠をとって朝7時起きで博物館行きのバスに乗るという日程。間違いなくその後倒れる。国内の移動とはわけが違う、英語表記もなく、係員も英語アウトなことが多い。

ブルガリアを発つ時、ランペドゥーザ島を離れるときに似た感情を持った。空港まで、かおりの友人ディアナさんに送っていただき、ブルガリアで描いたもう一枚の壁画と久々に再開。また、ディアナさんのお母さまや彼にも最後にご挨拶できてうれしかった。お母さまとお別れするとき「飛行機はうちの真上を通って向こうに曲がっていくのよ」と。「上から手を振りますね」と言ってお別れした。

ソフィア空港にはユーロの旗はあるものの、パスポートコントロールがあり、強面のスタッフが一人ひとりをチェックしていく。何も聞かれずにスタンプが押された。
1時間50分ほどのフライトでワルシャワショパン空港へ到着。ここでもパスポートコントロール。

EUというかシェンゲン圏と言うのはあまり国境を感じることがない。(いろんな問題があるのは承知の上でですが)これまでの歴史的な反省と国際情勢を踏まえ、パスポートコントロールを無くし、通貨を同じにするという試みを続けている。僕自身これは「人類の一つの大きな進歩」だと思っている。イギリスの離脱や、ギリシャ、スペインの経済破綻問題など、不安定要素はあるものの、少なくとも、戦いの歴史をずっと続けてきたヨーロッパで、このような取り組みが続いているのは、人類の大きな進歩の一つだと。先日のEU議会選挙の結果を見ても、親EUのリベラル派と環境政党が得票率を伸ばしているのを知って安心した。何故なら、選挙の日に滞在していたランペドゥーザ島を含めたイタリアは傍目にちょっと心配な選挙結果だったので・・・。

さて、ワルシャワからクラクフまでの移動は鉄道を使った。英語とポーランド語か使えるウクライナのお兄さんに助けてもらえなかったら乗ることができなかっただろう。交通の要所と言えど東欧はこれでもかというほど英語表記がない。まあ、英語表記を求めるのは、こちらの都合で「その国に行くんだったら、最低限、言葉は覚えていくんだな!」というのは理解できるが、日本でも迷う公共交通機関である。まあ、ホームひとつ探すのも、乗り方一つとっても、文法が違うので困ることが多い。

駆け込んで乗った列車は、所謂、コンパートメントというのかボックス席と言うのか。エアコンも効いて、電源もあるという居心地のよいものだった。6人がけのコンパートメントに4人。途中でお二人は降りたので、二人っきりで広い空間を占有できたのは助かった。ただ、停車前に駅のアナウンスがないのだ。だから、グーグルマップでクラクフ駅に近づいているのを確認しながらの旅だった。途中で「離合の為に停車します」みたいなことはいうくせに・・・。

クラクフ駅に降り立った。どっちが表か裏なのか分からない。翌朝のバス乗り場まで確認してから宿に行きたかったが、そんな体力は残っていなかった。

で、久々にウーバーを呼ぶ。見積もり300円。これで安心だ。来たのは日本の入れ墨を入れたお兄ちゃん。こっちが日本から来たと分かると、ずっと入れ墨の話題で持ち切り。こっちは何だか脳が疲れていて、言葉が上手く出てこない。子分って何ていうんだっけと思いながら「some persons under controlling by the boss」とかいいながら、日本のやくざ文化について簡単に説明した。もし、君が本物のやくざだったら、怖くて話なんかできないよとか言って笑いながら。

一方通行が多いらしく、随分遠回りをしてやっと到着。しかも、歴史文化地区のフラットらしく目の前まで行ってくれなかった。携帯を出してあらかじめメモしておいた住所をグーグルマップに入力して進む。ところが、なんだかGPSの調子がおかしいのか、自分の居場所があちらこちらに移動する。それでもなんとか、親切なホストの詳しい案内で行きつくことができた。

鍵をゲットし、いざ部屋へ。ところがベッドの一つがメイキングされていない。どういうことだと尋ねると「ちゃんと二つ用意したはずだけど」と話が通じない。もう午前1時を過ぎていたので、明日の朝、どうにかしておいてくれとメッセージしてバスタオルを腹に巻いて横になった。もう、この時点でズタズタ。しかも、こんな日に限って寒いと来た。

明日、7時起きでバスで1時間半かかるアウシュビッツビルケナウへ行くのか・・・。疲れから歴史の質量に耐え切れず、精神的な不調に陥るのが目に見えるようだと思いながら仮眠をとった。