フラットの横のアフリカンショップの前にあるベンチ。通る度にアフリカ系と思しき人が座っている。
最寄りということもあり、何度か買い物をしたが、決して物が安いわけではない。先日、店前で話したムハンマドさんは店主に電話を借りに来ていた。自分の電話を持っていないのだという。来店するのはほぼ男性だ。たまにスカーフで顔を覆った女性を見かける。店の中で店主と長話をしたり、表のベンチで知り合いとコミュニケーションをとったりしているようにみえる。
ここが、アフリカをルーツに持つ人のコミュニティーというか駆け込み寺と言うか、そんな場所になっているような気がする。
フラットを出るとお二人が、表のベンチに座っていた。「英語を喋ることができますか?」と聞くと「だいたいね」と。もう一方は全く反応を示さない。
「恐れながら質問があります。答えたくなかったら答えなくてもいいです。あなたは元難民ですか?」
「いや。ドイツ生まれ。てか、あなたドイツ語喋れないの?」
「はい、挨拶以外は全く」
「そうか。(横の)彼はドイツ語が少しできるよ。英語はダメ」
「わかりました。すいませんが。彼が元難民かどうか聞いてはいただけませんか?」
「(聞くまでもなく)アフリカからの難民だよ」
「インタビューに答えて頂くわけにはいかないでしょうか?」
ドイツ語でしばらく彼と話をした後、
「彼は人を待っているし忙しいから他を当たって」
ご本人も「嫌だ嫌だ」というようなジェスチャー。そりゃそうだよな。喋りたくないこともあるだろうし、こんな突然、どこの馬の骨か分からない奴に、込み入った身の上話をしてくれるはずもない。
他をあたろうと、しばらく周辺を歩くが、やはりこの店以外に頼るべき場所はない。意を決して店主と交渉することにした。店に入ってペットボトルの水を買って英語で喋りかけた。店主は英語完璧だった。
「すいません。実は今、元難民の人を探しています。そして、映画の為にインタビューを録りたいのですが、ご協力いただけませんか?」
「元難民?映画?どいうこと?」
「平和のためのアートムービーを作っているのです。そのBGMとして、難民の声を使いたいのです」
「質問内容ってどんなの?」
「出身国やここに逃げてきた経緯。母国とドイツでの生活の様子や、平和な世の中はどうしたら来るのかということを聞きたいです」
「いい質問だと思う。役に立てると思う。名刺持ってる?」
「はい。ただ、来週の月曜日の夜が期限なんです。火曜日にはパリにいるんです。シンです。」
「日本人なのか。明日、店が休みなんだ。月曜日しかないけど、何とかなると思う。で、何人ぐらい?
「二人か、一人でもOKです。英語でコミュニケーションできる人がいればベターです」
「わかった。電話する」
聞きにくいことだという意識があるせいか、喋りながら汗だくになってしまった。
月曜日、店主のアリさんから連絡があることを願おう。
写真はアフリカンショップ前のベンチから。写っているのはお店の看板。
最寄りということもあり、何度か買い物をしたが、決して物が安いわけではない。先日、店前で話したムハンマドさんは店主に電話を借りに来ていた。自分の電話を持っていないのだという。来店するのはほぼ男性だ。たまにスカーフで顔を覆った女性を見かける。店の中で店主と長話をしたり、表のベンチで知り合いとコミュニケーションをとったりしているようにみえる。
ここが、アフリカをルーツに持つ人のコミュニティーというか駆け込み寺と言うか、そんな場所になっているような気がする。
フラットを出るとお二人が、表のベンチに座っていた。「英語を喋ることができますか?」と聞くと「だいたいね」と。もう一方は全く反応を示さない。
「恐れながら質問があります。答えたくなかったら答えなくてもいいです。あなたは元難民ですか?」
「いや。ドイツ生まれ。てか、あなたドイツ語喋れないの?」
「はい、挨拶以外は全く」
「そうか。(横の)彼はドイツ語が少しできるよ。英語はダメ」
「わかりました。すいませんが。彼が元難民かどうか聞いてはいただけませんか?」
「(聞くまでもなく)アフリカからの難民だよ」
「インタビューに答えて頂くわけにはいかないでしょうか?」
ドイツ語でしばらく彼と話をした後、
「彼は人を待っているし忙しいから他を当たって」
ご本人も「嫌だ嫌だ」というようなジェスチャー。そりゃそうだよな。喋りたくないこともあるだろうし、こんな突然、どこの馬の骨か分からない奴に、込み入った身の上話をしてくれるはずもない。
他をあたろうと、しばらく周辺を歩くが、やはりこの店以外に頼るべき場所はない。意を決して店主と交渉することにした。店に入ってペットボトルの水を買って英語で喋りかけた。店主は英語完璧だった。
「すいません。実は今、元難民の人を探しています。そして、映画の為にインタビューを録りたいのですが、ご協力いただけませんか?」
「元難民?映画?どいうこと?」
「平和のためのアートムービーを作っているのです。そのBGMとして、難民の声を使いたいのです」
「質問内容ってどんなの?」
「出身国やここに逃げてきた経緯。母国とドイツでの生活の様子や、平和な世の中はどうしたら来るのかということを聞きたいです」
「いい質問だと思う。役に立てると思う。名刺持ってる?」
「はい。ただ、来週の月曜日の夜が期限なんです。火曜日にはパリにいるんです。シンです。」
「日本人なのか。明日、店が休みなんだ。月曜日しかないけど、何とかなると思う。で、何人ぐらい?
「二人か、一人でもOKです。英語でコミュニケーションできる人がいればベターです」
「わかった。電話する」
聞きにくいことだという意識があるせいか、喋りながら汗だくになってしまった。
月曜日、店主のアリさんから連絡があることを願おう。
写真はアフリカンショップ前のベンチから。写っているのはお店の看板。