バルセロナ活動初日。
ちゃんと朝に目が覚める。体内時計がやっとこっちに慣れてきたのだろう。ただ、やはり移動直後は疲れるな。時間には慣れても、初めての土地で初めての生活。でも、ユーロには随分慣れた。一目見て高い安いの判断ができるようになってきた。
自宅を出発して最寄りの地下鉄の駅を目指すが、通り過ぎていた。しかも500mも。筋金入りの方向音痴・・・。初老のご夫婦に場所を確認してもう一度地下鉄の入り口を目指す。やっとたどり着き、目的地周辺に到着。
グーグルマップで予習していたにもかかわらず迷う。おじ様たちに住所を見せたら目的地のビルに連れて行ってくれた。16階にあがりギャラリーに入る。英語の分かる人がおらず困っていたら、知らないおばちゃんがTONOのスタジオは13階だからと引っ張っていこうとする。16階で待ち合わせなんですと言うが通じず。ギャラリーの取締役みたいな人がやってきてTONOさんは10分後ぐらいに来るから待ってくれという。
説明では13階から15階まで全て芸術家の為のスタジオになっている。16階は常設のギャラリーになっていて作品を常時発表し同時に販売していると。素晴らしいロケーションと環境で制作できる彼らをうらやましく思った。そうこうしているとTONOさん登場。ご挨拶申し上げて、彼の近況とスケジュールを聞いた。2時間後にはマドリードでの展示の為に戻らなければならないと。帰ってくるのは5日以降だそう。で、今度はこちらの作品の話をし、このギャラリーで撮影さえてもらえないかお願いしたらOKだという。その前に彼の映像とインスタレーションを拝見することに。13階の彼のスタジオには月の表面のプリント、蝋燭を灯した流木。朽ちたライフジャケットに、木っ端でできた小さな家。それらを覆うようにプロジェクターで宇宙空間のゴミを現したアニメーションなどが展開する。背面にはどうやらこの作品を構築していった思考過程が書かれた張り紙。スペイン語で喋るけどごめんねと前置きをされた。お気遣いなく。心で感じてみます。とはいったものの、どうやら作品制作や展示を通じて「平和」を目指しているような感じの事を言ってはいるんだなというのは分かるものの、詳細は全く入ってこない。すると横にいた女性が「英語で説明してあげるわ」と。ありがたく厚意を頂戴した。
・月は地球の万物と何らかの関連性を持っているもの。全てを繋ぐものの象徴。
・ライフジャケットは難民の墓標。実際に難民が地中海を渡るときに着ていたもの。
・小さな家は家屋の廃材を切り出したもの。世界中全ての人が安心して生活ができるようにとの思いが込められている。
あ、志が同じだ。一通り彼の作品への説明と質疑応答が終わった後、TONOさんから我々の紹介があり、撮影への協力呼びかけをしていただいた。皆さん快く応じていただける様子。16階のギャラリーへ戻り、早速撮影を開始した。カナダで撮影をしてから久々の撮影。すごくほっとする。皆さん本当にありがとう。撮影終了後、彼にインタビューの依頼をする。「目指しているものは芸術とコミュニケーションからの平和ですよね」「そう。僕らは同じハートで繋がっているよね」「そう思います。もしよければ、あなたの芸術と平和への思いと、どうやったら平和が我々に訪れるかインタビューを録らせてほしいのですが」「もちろん!」約束を取り付けた。思いの丈を表現できるようにスペイン語でのお話をお願いした。
一旦、フラットに戻り、軽く食事。もう一方会う約束をしている人がいる。スペイン語と英語と日本語のトリリンガル、ダビッドさん。5時ぐらいに僕らの住まいまで訪ねてきてくださるという。部屋で待っていると近所のbarで待っているよと連絡が。慌ててフラットから出るとオープンテラスで既に一杯やっていらっしゃった。「はじめましてーダビッドです」のっけから日本語。すげー流ちょう。ドイツ語も喋るんだそうで、語学堪能。
スペインは昼ごはんが15時ぐらい。で、晩御飯は21時頃から食べるのだそうで、レストランはまだ開いていないよと。この時間帯は軽く飲みながら軽食をとるのだそう。ベルモットという「地中海文化を代表する」飲み物を頂く。柑橘系の甘みのある飲み物。アルコール度数高め。これにアンチョビとバケットがとてもあう。
しばらく話をした後、本題に入った。「撮影をするための公園を探しているのですが、近所に良い公園はありませんか?」「あるよ。3つぐらい。夕食まで散歩しようか」と。一つ目は徒歩3分の公園。着工から5年も経っているのにまだ完成しないんだと。そらそうだ。植える木を育てるところからやっているし、メインの草むらもこれから伸びるのだそうで。
人通りも多く、ウッドデッキがあり、ギターを弾いている少年もいる。ここいいな。最寄りだし。昼飯も食べに帰ることができる。で、ふと見上げるとすげー建物が。なんとも奇抜なんだけど、周囲に溶け込んでいないこともない。いや、溶け込んでいるというか、周囲の景観を取り込んでいるとでもいうのか。唖然としていると「あれ、バルセロナのバイブレーターと呼ばれています」と。さもありなん(笑)
次の公園はフリーマーケットが行われていてにぎわっていた。ドッグランもあって4匹の犬が全力で追っかけっこをしていた。公園、多いな。そして皆、利用しているんだな。
最後はポブレ・ノウ中央公園。この公園は「work in progress」だそう。外から見ると一見鬱蒼とした緑に囲まれた公園。入って驚いた。どうやら草木の成長と共に出来上がっていくデザインのようだ。斬新なステンレスでできた遊戯にオブジェ、椅子。硬質ガラスの壁。全てが計算されている感じがするものの、そこに草木や木の成長と共に姿を変えていく公園の姿を見た気がした。デザインに時間軸というか成長という要素を取り入れたのか。こういうものにお金をかけられるバルセロナっていろんな意味ですごいな。
ダビッドさんに「すごいっすね」というと「この公園、あのバイブレーターの建築家と同じです。ジャン・ヌーベル」「有名ですよね。知ってます」さらに話を伺うと、この周辺は古い工場地帯で、その功績を後の世に伝える為にも作られたのだと。
スペインの夕飯にはまだ早いが、そろそろ行きましょうかと夕飯を催促。そろそろっていう言葉、面白い。二つ意味があるよねと。擬態語の話で盛り上がりながらオープンカフェへ。食事をしながらアニメの話やダビッドさんの日本旅行の話で盛り上がった。結局カフェを2件はしご。
帰り際に見たバイブレーター。夕方の見え方と一変していた。もうどこかの宇宙船。
帰り着いたのは・・・覚えていない。したたかに酔っていたわけではなく、それほど日本の感覚と異なる時間の使い方なのだ。晩飯こんな時間に毎日食っていたら絶対に太るなあと。一日中動き回って、楽しく実り多き一日だったけど、やっぱりエネルギーは使うなあ。ふたりして帰宅後、歯だけ磨いてベッドに倒れこんだ。
ちゃんと朝に目が覚める。体内時計がやっとこっちに慣れてきたのだろう。ただ、やはり移動直後は疲れるな。時間には慣れても、初めての土地で初めての生活。でも、ユーロには随分慣れた。一目見て高い安いの判断ができるようになってきた。
自宅を出発して最寄りの地下鉄の駅を目指すが、通り過ぎていた。しかも500mも。筋金入りの方向音痴・・・。初老のご夫婦に場所を確認してもう一度地下鉄の入り口を目指す。やっとたどり着き、目的地周辺に到着。
グーグルマップで予習していたにもかかわらず迷う。おじ様たちに住所を見せたら目的地のビルに連れて行ってくれた。16階にあがりギャラリーに入る。英語の分かる人がおらず困っていたら、知らないおばちゃんがTONOのスタジオは13階だからと引っ張っていこうとする。16階で待ち合わせなんですと言うが通じず。ギャラリーの取締役みたいな人がやってきてTONOさんは10分後ぐらいに来るから待ってくれという。
説明では13階から15階まで全て芸術家の為のスタジオになっている。16階は常設のギャラリーになっていて作品を常時発表し同時に販売していると。素晴らしいロケーションと環境で制作できる彼らをうらやましく思った。そうこうしているとTONOさん登場。ご挨拶申し上げて、彼の近況とスケジュールを聞いた。2時間後にはマドリードでの展示の為に戻らなければならないと。帰ってくるのは5日以降だそう。で、今度はこちらの作品の話をし、このギャラリーで撮影さえてもらえないかお願いしたらOKだという。その前に彼の映像とインスタレーションを拝見することに。13階の彼のスタジオには月の表面のプリント、蝋燭を灯した流木。朽ちたライフジャケットに、木っ端でできた小さな家。それらを覆うようにプロジェクターで宇宙空間のゴミを現したアニメーションなどが展開する。背面にはどうやらこの作品を構築していった思考過程が書かれた張り紙。スペイン語で喋るけどごめんねと前置きをされた。お気遣いなく。心で感じてみます。とはいったものの、どうやら作品制作や展示を通じて「平和」を目指しているような感じの事を言ってはいるんだなというのは分かるものの、詳細は全く入ってこない。すると横にいた女性が「英語で説明してあげるわ」と。ありがたく厚意を頂戴した。
・月は地球の万物と何らかの関連性を持っているもの。全てを繋ぐものの象徴。
・ライフジャケットは難民の墓標。実際に難民が地中海を渡るときに着ていたもの。
・小さな家は家屋の廃材を切り出したもの。世界中全ての人が安心して生活ができるようにとの思いが込められている。
あ、志が同じだ。一通り彼の作品への説明と質疑応答が終わった後、TONOさんから我々の紹介があり、撮影への協力呼びかけをしていただいた。皆さん快く応じていただける様子。16階のギャラリーへ戻り、早速撮影を開始した。カナダで撮影をしてから久々の撮影。すごくほっとする。皆さん本当にありがとう。撮影終了後、彼にインタビューの依頼をする。「目指しているものは芸術とコミュニケーションからの平和ですよね」「そう。僕らは同じハートで繋がっているよね」「そう思います。もしよければ、あなたの芸術と平和への思いと、どうやったら平和が我々に訪れるかインタビューを録らせてほしいのですが」「もちろん!」約束を取り付けた。思いの丈を表現できるようにスペイン語でのお話をお願いした。
一旦、フラットに戻り、軽く食事。もう一方会う約束をしている人がいる。スペイン語と英語と日本語のトリリンガル、ダビッドさん。5時ぐらいに僕らの住まいまで訪ねてきてくださるという。部屋で待っていると近所のbarで待っているよと連絡が。慌ててフラットから出るとオープンテラスで既に一杯やっていらっしゃった。「はじめましてーダビッドです」のっけから日本語。すげー流ちょう。ドイツ語も喋るんだそうで、語学堪能。
スペインは昼ごはんが15時ぐらい。で、晩御飯は21時頃から食べるのだそうで、レストランはまだ開いていないよと。この時間帯は軽く飲みながら軽食をとるのだそう。ベルモットという「地中海文化を代表する」飲み物を頂く。柑橘系の甘みのある飲み物。アルコール度数高め。これにアンチョビとバケットがとてもあう。
しばらく話をした後、本題に入った。「撮影をするための公園を探しているのですが、近所に良い公園はありませんか?」「あるよ。3つぐらい。夕食まで散歩しようか」と。一つ目は徒歩3分の公園。着工から5年も経っているのにまだ完成しないんだと。そらそうだ。植える木を育てるところからやっているし、メインの草むらもこれから伸びるのだそうで。
人通りも多く、ウッドデッキがあり、ギターを弾いている少年もいる。ここいいな。最寄りだし。昼飯も食べに帰ることができる。で、ふと見上げるとすげー建物が。なんとも奇抜なんだけど、周囲に溶け込んでいないこともない。いや、溶け込んでいるというか、周囲の景観を取り込んでいるとでもいうのか。唖然としていると「あれ、バルセロナのバイブレーターと呼ばれています」と。さもありなん(笑)
次の公園はフリーマーケットが行われていてにぎわっていた。ドッグランもあって4匹の犬が全力で追っかけっこをしていた。公園、多いな。そして皆、利用しているんだな。
最後はポブレ・ノウ中央公園。この公園は「work in progress」だそう。外から見ると一見鬱蒼とした緑に囲まれた公園。入って驚いた。どうやら草木の成長と共に出来上がっていくデザインのようだ。斬新なステンレスでできた遊戯にオブジェ、椅子。硬質ガラスの壁。全てが計算されている感じがするものの、そこに草木や木の成長と共に姿を変えていく公園の姿を見た気がした。デザインに時間軸というか成長という要素を取り入れたのか。こういうものにお金をかけられるバルセロナっていろんな意味ですごいな。
ダビッドさんに「すごいっすね」というと「この公園、あのバイブレーターの建築家と同じです。ジャン・ヌーベル」「有名ですよね。知ってます」さらに話を伺うと、この周辺は古い工場地帯で、その功績を後の世に伝える為にも作られたのだと。
スペインの夕飯にはまだ早いが、そろそろ行きましょうかと夕飯を催促。そろそろっていう言葉、面白い。二つ意味があるよねと。擬態語の話で盛り上がりながらオープンカフェへ。食事をしながらアニメの話やダビッドさんの日本旅行の話で盛り上がった。結局カフェを2件はしご。
帰り際に見たバイブレーター。夕方の見え方と一変していた。もうどこかの宇宙船。
帰り着いたのは・・・覚えていない。したたかに酔っていたわけではなく、それほど日本の感覚と異なる時間の使い方なのだ。晩飯こんな時間に毎日食っていたら絶対に太るなあと。一日中動き回って、楽しく実り多き一日だったけど、やっぱりエネルギーは使うなあ。ふたりして帰宅後、歯だけ磨いてベッドに倒れこんだ。