雷雨

朝方寒気がした。風邪のあれだ。葛根湯飲んでもうひと眠りするが、今度は喉が腫れているし、目のまわりが熱い。ヘルペスも痛い。日が差している窓を見ながら落ち込む。ローマ滞在の第１期間目は６日間しかない。すでに３日目。風邪なんかひいている場合じゃないのに。自分にイライラしながら横になる。

察したかおりから「仕方がない。体が一番だから」と言われるが、限られた予定の中で撮影をしなければならない状況での１日の大切さを思い知っているだけに、気持ちだけが焦る。それでも翌日を棒に振るよりはましだと考えなおし、横になった。眠れるわけもなくただ横になる。寒気がして重ね着をして布団をかぶる。しばらくすると、雨の香りがした。間もなく雨音がし始めて、雷がなった。大雨。これじゃあ、撮影はおろか、下見も無理だと思った瞬間、眠りに落ちた。

夕方、汗だくになって目が覚めた。雨は降り続いていた。汗を拭いてまた眠る。かおりは買い物に行った。また汗だくになって目が覚めた時、少し調子が良い気がしたのでそのままシャワーを浴びた。かおりが作ってくれた夕食。野菜のうま味のきいたスープが染みる。兎に角、今日は養生しよう。また布団をかぶった。