2017年03月 アメリカ・サンディエゴ

旅のきっかけ
アフリカ、ユーラシア、オーストラリアと壁画を残してきた。アメリカ大陸にも壁画を描きたいと思っていたところに、トランプ大統領が誕生。メキシコとの国境が話題に上がる中、その現状を目の当たりにしたいと、国境沿いの街を訪れることにした。

制作を見つめる彼らは、メキシコ系移民。
市民の多くは移民を好意的に見ているようだった。

国境。施設内は撮影できなかった。
入国検査で長蛇の列ができていた。別室送りになる人や、そのまま拒否される人も。

景観を守ろうということから、壁画に対する規制が思いの外厳しかった。
アメリカのみ、壁画ではなくフラッグを制作し、現地のNPO法人に絵と思いを託した。
旅を終えて

国境の街で出会った市民は、みな一様に冷静だった。「トランプ大統領はビジネスマン。巨額を投じて壁を築くようなことはしない。彼は頭がいい」
もちろん、選挙当時は相応に激しい応酬があった。そして、新大統領の就任は当然ながら市民生活に大きな影響を与えた。語学学校の先生が突然居なくなった。彼はメキシコ移民だった。国境を超えて来る友人の姿を近頃ではみなくなったとも聞く。
不法移民は、労働力としてアメリカの市民生活を支えているのも事実だ。消費税も払っている。移民排斥は自らの首を絞めるようなものだという人もいた。イスラム教徒に対する排斥も強まった。「アメリカは第2次大戦で日系アメリカ人を収容所に押し込んだ。同じ過ちをまた繰り返そうとしている」と憤慨する日系3世の女性に出会った。
新しい時代の新しい軋轢。平和と一言にいっても、取り組むべき課題は日々更新されてゆく。
壁画の場所